リンパの反射に着目したチャップマン博士

「ハンドブック チャップマン反射」 産学社エンタープライズ部出版

人体の内蔵や器官に病的変化が起きると、それは体表(身体の表面)に何らかの警戒信号を発する。そして、その信号を認識し施術者が手を加えることで、病的変化未然に防ぎ治癒に導く。このような反射区理論は昔からあり、鍼灸のツボやリフレクソロジー・足つぼ等、色々な反射区治療があります。

私のところは元気のツボ整体研究所という屋号ではありますが、実は鍼灸のツボ理論は取り入れてはいません。反射区治療理論としてはオステオパシー医師のフランク・チャップマン博士(故人)が研究された独自の治療ポイント、チャップマン反射(神経リンパ反射)を施術で利用しています。

チャップマン博士は身体のホメオスタシス(恒常性:体内組織を一定の安定した状態に保つ力)を障害するのは「リンパの流れ」にあると考え「リンパ系が身体に与える影響は小さいものではない」と唱え実証しています。

リンパの流れをブロックされることが、さまざまな病気の原因ではないかと考えたチャップマン博士は、ブロックが改善されれば健康が促進されるのではないかと推測し、多くの治療ポイントを発見しました。

治療ポイントは検査ポイントでもあり、基本的には腹側と背中側にそのポイントが存在します。例えば前立腺が不調であれば下記の図のポイントにリンパのブロックがあり、そのポイントには小さなシコリが存在します。治療としてはポイントに指を軽くあて円を描くように動かし、ポイントに溜まっているリンパをまわりの組織に向かって押し出すようにする。

チャップマン反射

特にこの前立腺のポイント付近(背中側)はチャップマン反射では大事なポイントの1つであり、骨盤内臓器や足の症状に関わっていたりするポイントです(前立腺、子宮、直腸、生殖器に関連)。またグッドハート博士によりチャップマン反射は更に進化し、治療ポイントと関連する筋肉を見つけだし、治療ポイントのリンパを改善すれば内蔵だけではなく関連する筋肉にもよい影響があることがわかりました。ちなみに前立腺のポイントであれば関連する筋肉はお尻の筋肉郡と太ももの筋肉となります。

チャップマンとグッドハートの治療ポイントは相違する部分もありますが、両者が発見したポイントは間違いなく私たちの役に立つ情報であり、今後も大いに活用されていくものです。

チャップマン博士は「ハンドブック チャップマン反射」の中で骨盤変位や甲状腺などについても非常に興味深いことを語っており、この本の内容は私の宝となっています。

2010年7月16日 | カテゴリー : blog | 投稿者 : t.saitoh

医者から整体師へ、触手療法の福増廣幸先生

「奇跡の触手療法」 福増廣幸著 プレジデント社出版

故人・福増廣幸先生は医学博士であり、元・心臓血管外科医だった人であります。心臓外科医として第一線でやっていた方が48歳のときに突如整体の世界へ。医者として身体の多くを診てきて「多くの病気は慢性的な全身の筋肉疲労からきている」という見解に至ったそうです。

「奇跡の触手療法」には福増先生の病気への見解が沢山載っています。各症状に対しての整体的見解は非常に貴重なものとして私は捉えております。

また、本書に書かれている内容は私自身の臨床経験からも納得いくことが多く、私の施術指針となりうるものでもあります。

以下に「奇跡の触手療法」に掲載されている内容の中で、個人的に面白いと思う見解部分を抜粋してご紹介させていただきます。

  • 私がみるところ、骨粗しょう症は、長年にわたって積み重なった慢性的な筋肉疲労と靭帯の締めつけなどで血行が悪くなっているのが原因で、その点に注目して治療をすると、老人にとってはほとんど不治も同然の骨粗しょう症が嘘のように消えていく。
  • 頸部で鎖骨や胸骨、第一・第二肋骨にくっついているごく細い筋肉が、ポツッという僅かなショックで損傷を起こすだけで、鞭打ち症が起きるのである。
  • 幼い子どもに慢性筋肉疲労などあるはずがないではないかと思われがちだが、とんでもない。強い精神的ストレスによって慢性筋肉疲労が生ずることは多いし、適度のストレスでも敏感に反応して筋肉に緊張が残るケースも少なくない。
  • 不整脈というのは、不眠症で熟睡できない状態が続くと起きやすい。その不眠症の原因となっいる頸部から頭部にかけての慢性筋肉疲労をとると、とたんに深い睡眠が十分にとれるようになって、不整脈が消えることが多い。
  • この交感神経と副交感神経とで構成されている神経系が、自律神経といわれている。ところで脊柱を取り巻いてさまさざまな筋肉郡が集まっているが、「その筋肉郡を、自律神経が(くわしくいえば交感神経節と副交感神経節とで)モニターしている」と私はみている。これまでに、自律神経にそのような機能があると考えた専門家はいないが、私の仮説には確信がある。
  • ここが大事な点だが、ふつう筋肉の疲労は運動して力を消耗するからだと信じられている。ところが、むしろ精神的な緊張で筋肉疲労が起き、その慢性化が問題なのである。

奇跡の触手療法

2008年11月25日 | カテゴリー : blog | 投稿者 : t.saitoh

スジを診る、増永静人先生

「スジとツボの健康法」 増永静人著 潮文社発行

私が整体学校を卒業して都内の治療院で修行し始めた頃に購入した本です。整体の施術者として「早くいい結果がだせるようになりたい!」という気持ちだけが先走っていたことを思い出します。

その頃、池袋の「たにぐち書店」(私たちの世界では有名な本屋さんです)に通うことが多く、自分の技術を向上させてくれる本を探しに行っては「高いな~ 2万円か~」「読んでも難しくて意味が理解できない」なんて独り言を吐き、立ち読みだけして帰ることが多かったような・・・苦笑

実際に専門書は高額なものが多く、気になったものは何度か購入したことはあるのですが、読んだだけでは理解できないものがほとんどでした。しかし、購入したこと読んだことには後悔なく、勉強になる点は少なからずありましたので、今の私の礎になってくれている思っています。

話は少し脱線しましたが、そういうときに「スジとツボの健康法」を見つけたのです。一般の方々向けに書かれたものらしいのですが、おそらく一般の方が読んでも理解できないのでは!? と思える内容で、身体や施術に対する理論(著者の考え)がしっかりと述べられているものなのです。私は立ち読みした時点から食い入るように読み、迷うことなく購入した記憶が残っています。迷わなかった理由は安かったこともあります。なんと1200円! 苦笑

この世界に入ったばかりの人であれば「スジとツボの健康法」を数ページ読んだだけでハマるはずです。スジの歪みについてや身体の触れ方・押し方など私は色々と考えさせられることになりました。

一応、指圧の先生が書いた本ですが、この先生のやっていたことは指圧と言うよりもスジの歪みを修正する整体だと、私は捉えています。私がこの本を読んだときには著者の増永先生は既に他界されていたことが残念であり悔やまれます。先生の施術を一度は拝見したかったものです。

スジとツボの健康法

2008年2月20日 | カテゴリー : blog | 投稿者 : t.saitoh