平成13年に開業後、腰痛などで当整体所の施術(骨盤矯正)を受けた方から「妊娠した」という報告を何度か受けました。一時期そのような報告が増え、それから不妊と骨盤の歪みついて意識するようになり、色々と考えるようになりました。ここでは私の施術経験をもとに不妊と骨盤の歪みについての所見(私見)をレポート風に述べさせていただきます。不妊治療中の方、または不妊治療を検討している方たちの参考となればと思います。
1.不妊や女性特有の症状は、骨盤の歪みなどの特徴がある
婦人科系疾患(特に不妊)に悩まされている方たちの特徴を振り返ると、以下のⅠ~Ⅴの特徴が多く存在する。当てはまる数が多いほど重度の傾向がある。
Ⅰ.骨盤に歪みがある
仙腸関節(図の赤色の部分)
- 歪みと供に仙腸関節の動きが硬くなりやすい
- 状態がよくない人ほど仙腸関節は硬い
坐骨(図のピンク色の部分)
- 座ったときに椅子の座面と接触する骨の部分が坐骨(ピンク色の部位)
- 通常、座るときは座骨から座面に接触していくが、このとき座ったショックをやわらげるためにクッション的な働きがある(座るときに座骨が腸骨側に少し上がり (青い矢印の方向に少し上がる感じ) ショックを吸収する )
- しかし、歪みと供に座骨の動きが乏しくなりやすい
- 坐骨の動きが乏しい人は、お尻や太ももの筋肉が硬い
Ⅱ.お尻や太もも、腰の筋肉に硬さが目立つ
- お尻や太ももの後ろの筋肉が硬いと骨盤を下方へ引っ張る力が働く
- このような人は元々腰の筋肉が硬い人に多いのたが、骨盤を下方に引っ張られることで腰が常に緊張状態に
- 胴体の前屈動作に硬さがあらわれる
Ⅲ.お腹周りやお尻・太もも(後ろや内側)の筋力が弱い
- お腹周りの筋肉を使わないため身体中心部の力が弱い
- 中心部の力が弱いので身体外側への負荷が強くなる
- そのために姿勢が悪く、呼吸が浅い
Ⅳ.太ももの前部外側の筋肉が発達している
- 太ももの外側の筋肉のみ発達して目立つ(赤色の部位)
- その他の太ももの筋肉は少し細いか、脂肪が目立つ(ピンク色の部位)
- 歩行時につま先が内側に入るように歩く(ペンギン歩き)
- 骨盤が広がっている
Ⅴ.子供の頃から走ることが苦手(うまく走れない、遅い)
- 足を上げる動作と蹴る動作がスムーズにできない
- 昔から運動が苦手で、筋肉を使ってこなかった
2.骨盤矯正後に、よい結果がでる!
上記の特徴がある方々に当整体所の骨盤矯正をおこなうと主訴とは別に不妊、生理不順、無月経(排卵障害)、不正出血、月経過多などの症状も改善されるケースが間々あることに気付く。(開業して3年後あたりから)
当整体所の骨盤矯正のポイントを列挙すると
- 骨盤の形を正す(骨盤自体は大きく歪むものではないが下記のような左右差はでやすい)
- 仙腸関節に動きをだす(赤色の部位)
- 坐骨に動きをだす(ピンク色の部位)
- 腰仙関節に動きをだす(青色の部位)
骨盤の形を確認する方法は、いくつかポイントとなる箇所がある。その中で形として特に気にしているポイントは上図茶色の線の左右傾斜角度の差。この茶色の線は骨盤の腸骨と大転子の外側(緑色の部位)をつないだライン。確認の仕方は骨盤の左右外側に板状のものをあてて、左右の傾斜角度の差を調べる。左右の傾斜角度に差があるのであれば修正する必要がある。
例1.左右傾斜角度に違いがあるのでBAD、右より左の方が傾斜角度が緩やか
例2. 左右傾斜角度に違いがあるのでBAD 、左より右の方が傾斜角度が緩やか
例3.骨盤の左右傾斜角度は、ほぼ同じ(形的にはGOOD )
3.骨盤の歪みが不具合を生む理由を考えた
骨盤の歪みが婦人科系の不具合を生む? その理屈を整体、カイロ、代替療法の理論から推測すると以下の内容の何れかが当てはまると考える。(単一 または複合的に)
- 骨盤に付着している筋肉郡(お尻、お腹、太ももなど)の働きが鈍くなっている。その影響により骨盤周辺の体液(鼠径リンパ節など)が滞る。それにプラスして運動不足が重なれば体液循環は更に鈍化。体液の停滞は細胞や組織の活動を低下させる。これにより骨盤内に配置されている子宮や卵巣などの組織も本来の活動ができずに働きが鈍る。
- 腰椎(腰の背骨)や仙骨(骨盤の一部)の動きが制限される。これにより腰椎や仙骨周辺からでている自律神経の働きが鈍る。腰椎や仙骨の自律神経は子宮や卵巣との関係が深く、自律神経の働きが鈍れば子宮や卵巣の働きも鈍る。
- 骨盤が歪むことで骨盤内に配置されている子宮や卵巣の位置に変化。それによって強く圧迫される血管や神経があり、子宮や卵巣は本来の活動ができずに働きが鈍る。
- 骨盤が歪むと身体バランスが悪いことにより首の筋肉に負荷がかかる。その影響により脳の一部(下垂体)の働きが鈍る。下垂体から分泌されるはずのホルモンの放出が減少し、女性ホルモンの分泌にも悪影響がでる。
- 骨盤の歪みにより脳脊髄液の循環に問題がでる。頭蓋骨から仙骨の間を流れる脳脊髄液は、脳脊髄液は脳の保護や神経システムの栄養素となるものであり、問題が発生すれば神経システムにも影響がでる。女性ホルモンや子宮、卵巣に影響がでることも考えられる。
当整体所の骨盤矯正の特徴から推測すると、2番の理屈が一番的を得ていると思う。当整体所の骨盤矯正の特徴は太ももの後ろの筋肉が少し弛むことで下方(足の方)に引っ張られている骨盤が上方に持ち上げられる。それに加えてお尻や太ももの後ろの筋肉を使う体操療法で、腰の筋肉に動きと力強さがあらわれ、腰椎や仙骨周辺からでている自律神経によい影響を与えていると考えるため。
4.骨盤矯正の必要性!?
骨盤を整えることによって症状が改善されたケースは多くある。これは確かなこと。(通常1~3回ぐらいの施術で効果があらわれる)
しかし、全ての不妊や生理不順などの婦人科系疾患が骨盤の歪みから起きるわけではない。
骨盤の歪みを整えても改善しないことはある。そのような場合、骨盤の歪みが不具合の原因ではないことが考えられる。何度か骨盤矯正しても結果がでない(妊娠できない)方が仕事を辞めたあとに妊娠したケースが何度かある。精神ストレスも不妊の原因だったりするのだろう。
また、骨盤を整えても再度歪んでしまうケースは考えられる。このような場合は、ある程度の施術回数が必要(個人差あり)。体の硬い人、長い間歪みのあった人は回数増の傾向である。理由は骨盤周りの筋肉が硬いため。緊張した筋肉を弛め停滞した老廃物を抜くのには回数を要する。
施術後、歪みの再発防止には、いい姿勢を心掛けること。それとウォーキングなどの運動を適度におこなうこと。睡眠不足や過剰労働、水分補給を怠るなどは避けたい。逆に骨盤周りの血行がよくなる行為は推奨できる。
出産を経験した人でも産後に骨盤の歪みが戻らず不妊になることがある(二人目不妊)。このような人は産後の骨盤の歪みや精神的なストレスを疑う必要がある。
産後の骨盤矯正を受けるタイミングは産後3ヶ月から半年ぐらいがベターでは!? 肉体的、精神的、環境的なものが、それなりに落ち着く時期、そして骨盤を安定させている筋肉郡が硬くなりすぎない時期がよいと考える。(産後の経過がよく、それなりに体力も戻っていれば産後1ヵ月後ぐらいから骨盤矯正して、定期的に一ヶ月おきぐらいで調整するのがベストに思える。)
基本的には産後1ヶ月ぐらいは無理をしないで安静にしていること。お腹周りの筋肉が整って、しっかり骨盤支えられるようになるまでは数週間を要すると言われており、その期間はなるべく安静がよい。
産後や骨盤矯正後しばらくは骨盤を安定させるのに骨盤ベルトの着用をするのもよい(間違った着用法には気をつけること)。しかし、長い期間骨盤ベルトを着用しない方がよい。骨盤周りの筋力が弱まりすぎる可能性がある。
5.骨盤以外にも気をつけたい
不妊など婦人科系のトラブルを抱えている人は骨盤以外にも気をつけるべきことがある。1つ目は体液停滞と冷え。代謝を悪くしホルモンバランスに悪影響をきたす。今は色々な健康法があるので問題のある人は自分にあったものを実施されればよい。ウォーキング、半身浴、青竹踏み、足首回し、ヨガ、ストレッチ、冷え取り健康法、・・・
2つ目は精神的ストレス。口の中が渇いていることが多かったり、胃の不具合が多い人は要注意。慢性的な精神的緊張を疑う必要がある。リラックスすることや楽しく過ごすことは非常に大事。笑ったり、ゆったりとした呼吸は精神を落ち着かせる効果があり、副交感神経(リラックス時に働く神経)の活性化によい。身体全体の酸素吸収量も上がる。要は「明るくゆったりとした心が身体にいいし、神経・ホルモンの働きをよくする」ということであり、そのことを日々の臨床を通して実感している。
この2点は健康にとっても重要なので、ぜひとも注意していただきたいと思っている。
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